ここ数年、地域の皆さんとともに、広島県三次市(「さんじし」じゃないよ「みよしし」だよ)の地域資源発掘プロジェクトをお手伝いしてきた。まだ完全ではないが、三次市の南部に位置する4町(三和・三良坂・吉舎・甲奴)のお堂の調査が一段落。その成果をPicasaウェブアルバムにまとめ、公開する事ができた。現在収録されているお堂は116。街の辻やお寺の前、古い間道の入口や分かれ道・峠の頂上。墓地の入口や旧家の裏などに建っている。
この地方のお堂は、全国各地の地蔵堂や辻のお堂と異なり、お堂の利用目的が仏様を祀ることを第一義としていない。祀ってあるのは仏様や神様など多種多様で、しかも神棚程度の小さな祭壇がとって付けた様に設置されている。どう見てもお地蔵さんや観音さんなどを祀るのを主目的として建てられたものとは思えない。1坪か1.5坪のお堂には多くが床が張られ、3方または4方が吹き抜けで、その床は地域の人々のお休み場所に利用したり、旅人が寝泊りしたと伝えられている。子ども達の遊び場でもあったらしい。このような特徴を持つお堂は、四国では「茶堂」と呼ばれ、広島県の安芸・備後地方では「どうさん」または「四つ堂」と呼ばれている。
これらのお堂には、伝説や古い伝承が残っているものもあって、市や町の文化財に指定されているものが時にはあるのだが、そのほとんどは、たいした価値や残す意味がないと思われ、系統だった研究も総合的な調査はおろか、現存するものでさえ、山の中で朽ち果てそうなものも多々存在する。本来、地域の固有の文化であり、地域の小さなコミュニティーの場所としての人々を繋ぐ役目があったのだが、社会の変化、特に個人主義と地域の役割り(地域自治)を行政に集約していった結果が、地域文化の喪失へとつながり、地域の衰退に拍車を掛けたのではないかと思う。もう一度地域自治を見直し、地域の人々が作ってきた風土とは何かを、一人一人が考えていく地域づくりをしていきたいと思う。
そんなことを、ちょっと心の片隅において、三次のお堂群のウェブマップを見ていただけたらと思う。
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