世界に激震をもたらしたアメリカ合衆国第45代大統領選でのトランプ氏の当選。差別主義者で偏見で扇動するトランプをアメリカ人が選ぶはずはないと世界中のほとんどの人がヒラリークリントンの当選を信じていた。自由と平等を原則とするアメリカで、まさかこんな人物を選ぶことになるとは、にわかに信じられなかった。そしてポピュリズムの恐ろしさを改めて感じると共に、人間はそんな人物にさえ1票を投じるという愚かさも併せ持つことを思い知らされた。しかし、これはアメリカだけの問題ではない、この夏にはイギリスでEU離脱を国民は選択していたし、小泉・安倍と強権的な総理を支持し続けている。遡れば、イラク進攻も日本が日中、太平洋戦争に突入したのも、ヒトラーが絶対的な権力を握ったのも、権力者の嘘や扇動に乗った国民の熱狂的な支持に支えられていたのである。多数が決定するという民主主義の決定的なリスク、弱点なのである。それでもその中で知恵とあきらめない精神で是正していくほかはないのが民主主義。そんな民主主義の世界で最も是正しなくてはならないのが拡大する格差、富の集中問題ではないか。常に世界中で富(資源)の奪い合いと南北問題のように冨の格差による対立が紛争や戦争を引き起こしてきた。かつては多くが国同士や民族などの国に準じる勢力による紛争が主なものであったが、平和的な国家と考えられてきた国でも大きな格差によって、その行き場のない怒りが、少数派への憎悪や排他的思想の拡大をも招き、安定的と思われていた国内にも危機的な状況を作り出そうとしている。今回のアメリカ大統領となるトランプの言動はその危険性を一気に増幅させたといえる。日本もよそ事ではなく一部民族を対象としたヘイトスピーチや現政権の有力閣僚にもシンパのいる国粋的右翼の跋扈。秋葉原事件や障害者無差別殺人事件なども、そうした沈殿する格差の問題が横たわっているように思える。以前、同ブログでも記した事があるが格差の是正こそが経済の発展、景気の回復、国内の安全・安心を作ると信じている。これからの世界の安定と平和のために、投機的なマネーゲームやタックス・ヘイブン、世界の1%の富裕層による富の寡占などに世界が協調して取り組んでほしいものである。そしてトランプ氏には、選挙戦での差別的発言や扇動は選挙の方便であったと言い訳でもいいので、対立の解消に全力で当たってくれることを願う。現実的なビジネスマンであるなら…。